高齢者の恋愛

0-84いつも介護タクシーを使ってくれるおじいさんがいまして、電話で依頼してくれるんです。脳梗塞の後遺症で、話しにくく、電話での話はものすごく聞き取りにくいんですが、慣れると何とか理解できます。

行き先は同じデイサービスで知り合った彼女の家。ふだんは車椅子生活で立ち上がることもないのですが、この時ばかりは自力で玄関を上がります。

色恋のパワーはスゴイ。

一時間ほどしたら迎えに来てくれということで、むかえにいくと玄関先できた時と同じ体勢で待っているんですね。まあ、茶飲み話をしているだけです。彼女の方も、知的な障害があるようで、果たして会話が成立しているのかよくわからないのですが、ニコニコしているので心は通じあっているのでしょう。

しかし、あるとき家族とケアマネージャーからクレームが入ったのです。実は奥さんもおられて、勝手に連れだしては困る!とのこと。

ボケ老人の言うこと真に受けて、タクシーで連れて行くなんて問題ですよ!と。

しかし、たしかに話は通じにくいですが、私には認知症には思えなかったんですねえ。家族の目を盗んで電話をかけてくる悪知恵に、このバイタリティー。たぶん家庭内で尊厳もなく、外に安らぎを求めたかったんじゃないでしょうか。

家族だから、ケアマネージャーだからといって、本人を抑えこんでおく権限はないのです。それで、タクシー業者の方に釘を差しておこうということでしょうが、こちらにしたらお客様はご本人なわけで、断る理由もありません。公序良俗に反しているというほどのこともないでしょうし。(もしかしたら彼女のほうが迷惑していた可能性もありますが。)

結局は予約があるからとか適当な理由で依頼を断り続けまして、いかなくなってしまったんですが、おじいさんには申し訳ないような気もしています。

しかし、年取ったとか、からだが不自由といって引きこもりにならず、まわりを困らせながらでもバイタリティーを持って生きていく老後って、いいんじゃないでしょうか。こうでありたいと思います。

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