流しの介護タクシーと認知症老人

0-33流しの介護タクシーがないのは、運輸局で許可を取るときの条件に、流しはダメとあるからなんです。かならず事業所で引き受けないといけない、ということになっているんですね。つまり電話やネットでの予約が必要ということです。

これは、一般のタクシーとの競合を防ぐためでしょう。本来、個人タクシーを始めるには実務経験や試験もあって、参入しにくかったんですが、小泉政権の時の規制緩和で、歩行困難者のためという限定条件で許可を出したんですね。法人タクシーも車両数の下限があったんですが、介護タクシーに関しては1台からでもOK。

ということで、介護タクシーがバンバン増えました。これが流しで客をかっさらっていくと、従来からのタクシー業者はたまらんだろうという配慮があったのだと思います。

そんな経緯はどうであれ、流しは懲り懲りと思うことがありました。お客をおろして、事業所に戻る途中で、手を上げているおじいさんがいたんです。次の予約もなかったので、つい、止まって乗せてしまいました。

行き先は、近所の会社だということで道を指示してくれるんですが、どんどん遠くなって、隣の市まででてしまい、おじいさんも言うことが頼りなくなってきて、一抹の不安を感じました。

「なんていう会社ですかね?」と聞くと、財布の中から名刺を取り出すんですが、ものすごく古そうな名刺なんです。

「ちょっと電話で、場所を聞いてみますねー。」等と言って、電話してみました。住所が書いてあるんで、電話しなくても本当は分かるんですが、場所もずいぶん離れているし、ちょっと疑いがあったもんで。

電話は現在使われていない番号でした。

こらあかん、認知症老人を乗せてしまった。職業上、行くべき場所に届けなければ。でも、おじいさん、もうすっかりわからなくなっています。

お家は、どこなんですか? ときくと、門は何色で、玄関はどんなんで、と特徴を言ってくれるんですけど、これはなかなか難問です。

乗せた場所から徒歩圏内のはずだと推測しまして、そのあたりをウロウロしてたら、細い路地の突き当りに、あったー! 目と鼻の先の距離でした。

「ここや、ここや」とおじいさんも言うもんで、ピンポン鳴らしてうちの方に無事引き渡したのでした。

行方不明にはよくなるらしくて、ご家族は恐縮されていました。タクシー代を…といわれますんで、初乗り料金だけ頂きましたが、一時間以上は乗ってましたね。家族さんも不安だったと思います。こちらもあせって冷や汗モノでした。

最終的には警察に頼ろうとは思っておりましたが、警察沙汰にならずに済んで良かったです。

 
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